タイで環境汚染物質排出移動量登録制度(PRTR制度)の導入に向けた規則の制定作業が進んでいる。これは2017年12月10日、工業事業局(DIW:Department of Industrial Works)のMongkol Pruekwatana局長が明かしたものである。PRTRの導入により、同国における汚染物質の排出量や報告がよりシステマティックなものとなると期待されている。

現在検討されているPRTRは、特定の業種を対象に、水や大気、土壌への有害物質の排出・移動を推算し、公害管理局(PCD)に報告することを義務づける内容となっている。提出を受けたPCDは、収集した情報をデータベースにまとめ、公開する。現在、PRTR制度の対象として検討されている業種は以下の9つである。これらの業種は、化学品の使用量、各活動から出る汚染物質の量、工場外に排出した廃棄物を記録した上でDIWのシステムを通じてオンライン報告することとなる。
1. 化学および石油化学
2. 自動車および自動車部品
3. 石油精製、天然ガス分離および石油製品
4. 一次金属産業および金属製品
5. 電化製品製造
6. プラスチック製品製造
7. ゴムおよびゴム製品製造
8. 発電所
9. 廃棄物管理

同国では2013年から、ラヨーン県の200以上の工場を対象としてPRTRのパイロットプロジェクトが実施されており、毎年これらの工場から報告がなされている。また、タイ政府が東部経済回廊の全域にPRTRを導入する方針を掲げていることから、2016年からサムットプラカーン県でパイロットプロジェクトを開始している他、2018年からはチョンブリー県およびチャチューンサオ県でもパイロットプロジェクトを開始する。最終的には全ての県にPRTRを導入することを目標としている。